全地は同じ発音、同じ言葉であった。・・・時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、言われた、さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。・・・これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。
– 旧約聖書 創世記 第11章「バベルの塔」
ITと多言語社会
現在、世界では数千以上の言語が話されています。似た言語の分類上の問題などもあり、正確な言語数を数えることは非常に困難ですが、例えば、三省堂言語学大辞典には約3500言語が収録されています。また、東洋書林の世界言語文化図鑑(2005)によれば、世界人口の半数は、社会の中で複数の言語を併用していると推測されています。その上、昨今では海外との交流も盛んになり、同じ国の中でも多くの言語が話されていることも珍しくないのです。
ところで、インターネット上では「英語」が重要な位置を占めています。しかしながら、それ以外の言語が重要で無くなったわけではありません。むしろ、多くの人々がインターネットに参加できるようになるにつれて、英語以外の言語を目にする機会も増えているのではないでしょうか。
もし、多くの人々にアプローチするとなれば、複数の言語を扱う必要があります。機械翻訳技術が存在しますが、完全ではありません。しかしながら、マーケティングの展開等を考えた場合、必ずしも正確な翻訳が必要ということでもないでしょう。そこで、主にWEB上のテキスト情報に対して、統計学等の手法を利用し、意思決定の判断材料となり得る言語横断的な可視化の枠組み構築を試みています。

ITと観光産業

観光業は、多くの国において重要視されている産業の一つです。特に、発展途上国においては、経済開発のための非常に重要な産業分野です。同時に、インターネットの普及とともに、ITとの結びつきも強くなっています。インターネット上の情報(とりわけクチコミ等のユーザー生成コンテンツ)が、旅行者の観光行動に影響することもあるでしょう。
近年では、様々な分野で持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)への取り組みが求められています。観光においては、「観光公害」により長期的には観光が持続不可能となるかもしれません。観光が経済に貢献し続けるためには、サステナブル・ツーリズム等により適切にコントロールしていくことが不可欠でしょう。旅行者の満足度を向上しつつ、観光地の人々の満足にもつながる政策や旅行プランが必要なのです。ここで、ステークホルダーが適切な意思決定を行うときに参照できる客観的な材料を言語横断的な可視化の枠組みとして提供できればと考えています。
